年から頼まれて居りますが、婆《ばア》さまの云うにア、それは宜《え》えが訝《おか》しいじゃアなえか、何ういう理由《わけ》か知んねえ、毒な虫を捕《と》って六百文貰って宜《え》えかえ、なに構ア事はなえが、黒い羽織を着て、立派なア人が来るです」
秋「まゝ其様《そん》なことを云っちゃアいけない」
嘉「へえ/\、なに此処《こゝ》は別に通る人もごぜえませんけれども、梅の時分には店へ腰をかけて、草臥足《くたびれあし》を休める人もありますから、些《ちっ》とべえ駄菓子を置いて、草履《ぞうり》草鞋《わらじ》を吊下《つるさ》げて、商いをほんの片手間に致しますので、子供も滅多に遊びにも参《めえ》りません、手習《てならい》をしまって寺から帰って来ると、一文菓子をくれせえと云って参《めえ》りますが、それまでは誰《たれ》も参《めえ》りませんから、安心して何でもおっしゃいまし、お帰りに重とうござえましょうが、芋茎《ずいき》が大《でか》く成りましたから五六|把《ぱ》引《ひっ》こ抜いてお土産にお持ちなすって」
供「旦那さま、芋茎のお土産は御免を蒙《こうむ》りとうございます……御亭主旦那様は芋茎がお嫌いだからお土産は成るたけ
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