少しの間座敷を貸してくれ、弁当は持参してまいったから、決して心配をしてくれるな、兎や角構ってくれては却《かえ》って困る、これは貴様の妻か」
嘉「へえ、私《わし》の嚊《かゝあ》でごぜえます、ぞんぜえもので」
妻「お入来《いで》なせえまし、毎度お母《っか》が参《めえ》りましては種々《いろ/\》御厄介になります、何うかお支度を」
秋「いやもう構ってくれるな、早く屏風を立廻してくれ」
婆「畏《かしこま》りました、破けて居りますが、彼《あれ》でも借りてめえりましょう、其処《そこ》な家《うち》では自慢でごぜえます、村へ入《へい》る画工《えかき》が描《か》いたんで、立派というわけには参《めえ》りません、お屋敷様のようじゃアないが、丹誠して描いたんだてえます」
秋「成程是は妙な画《え》だ、福禄寿《ふくろくじゅ》にしては形が変だな、成程|大分《だいぶん》宜《い》い画だ」
婆「宅《うち》で拵《こしら》えた新茶でがんす、嘉八《かはち》や能くお礼を申上げろ」
嘉「誠に有難うごぜえます、貴方《あんた》飴屋が参《めえ》りますと、何かお尋ねなせえますで」
秋「其様《そん》なことを云っちゃアいけない」
嘉「実はその去
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