で、一人男を連れて来て、其の虫を捕《つか》まって置きさえすれば六百ずつ置いては持って往《い》きます、其の人は今日お前様白山へ参《めえ》りますと、白山様の門の坂の途中の処《とこ》にある、小金屋という飴屋にいたゞよ、私《わし》は懇意《ちかづき》だからお前様の家《うち》は此処《こゝ》かえと何気なしに聞くと、其の男が言っては悪いというように眼附をしましたっけ」
秋「はて、それから何う致した」
婆「私《わし》も小声で、今日は虫が沢山《たくさん》は捕《と》れましねえと云うと、明日《あした》己が行くから今日は何も云うなって銭い袂《たもと》へ入れたから、幾許《いくら》だと思って見ると一貫呉れたから、あゝ是は内儀《かみ》さんや奉公人に内証《ないしょう》で毒虫を捕るのだと勘づきましたよ」
秋「ムヽウ白山前の小金屋という飴屋か」
婆「はい」
秋「あれは御当家の出入《でいり》である……茶の好《よ》いのを入れてください、婆ア飯を馳走をしようかな」
婆「はい、有難う存じます」
秋「婆ア些《ちっ》と頼みたい事があるが、明日《あした》手前の家《うち》へ私《わし》が行《ゆ》くがな、其の飴屋という者を内々《ない/\》で私
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