せんが、此間《こねえだ》儲《もう》けもんでござえまして、蝦夷虫《えどむし》一疋《いっぴき》取れば銭い六百ずつくれると云うから、大概の前栽物《せんざいもの》を脊負《しょ》い出すより其の方が楽だから、おまえさま捕《とッ》つかめえて、毒なア虫でごぜえますから、籠《かご》へ入れて蓋《ふた》をしては持って参《めえ》ります」
秋「ムヽウ、それは何ういう虫だえ」
婆「あの斑猫《はんみょう》てえ虫で」
秋「ムヽウ斑猫……何か一疋で六百文ずつ……どんな処にいるものだえ」
婆「はい、豆の葉に集《たか》って居ります、在所じゃア蝦夷虫《えどむし》と云って忌《いや》がりますよ」
秋「何《なん》にいたすのだ」
婆「何だかお医者が随《つ》いて来まして膏薬《こうやく》に練《ね》ると、これが大《でけ》え薬になる、毒と云うものも、使いようで薬に成るだてえました」
秋「ムヽウ、何《ど》の位|捕《つか》まった」
婆「左様でごぜえます、沢山《たくさん》でなければ利かねえって、何《なん》にするんだか沢山《たんと》入《い》るって、えら捕《つか》めえましたっけ」
秋「そりゃア妙だ、医者は何処《どこ》の者だ」
婆「何処の者だか知んねえ
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