のを些《ちっ》とべえ売りに参《めえ》ります、白山の駒込の市場へ参《めえ》って、彼処《あすこ》で自分の物を広げるだけの場所を借りれば商いが出来ます」
秋「成程左様か、娘が有るかえ」
婆「いえ嫁っ子でごぜえます、是が心懸の宜《え》いもので、忰と二人で能く稼ぎます、私《わし》は宅《うち》にばかり居ちゃア小遣取《こづけえど》りが出来ましねえから、斯うやって小遣取りに出かけます」
秋「そうか、茶ア遣れ、さ菓子をやろう」
婆「有難う…おや/\まア是《こ》れだけおくんなさいますか、まア此様《こんな》に沢山《えら》結構なお菓子を」
秋「宜《い》いよ、また来たら遣ろう」
婆「はい、此の前《めえ》参《めえ》りました時、巨《でけ》え御紋の附いたお菓子を戴きましたっけ、在所に居ちゃア迚《とて》も見ることも出来ねえ、お屋敷様から戴《いたゞ》えた、有りがたい事だって村中の子供のある処へ些《ちっ》とずつ遣りましたよ、毎度はや誠に有難い事でござえます」
秋「どうだ、暑中の田の草取りは中々辛いだろうのう」
婆「はい、熱いと思っちゃア兎ても出来ませんが、草が生えると稲が痩せますから、何うしても除《と》ってやらねえばなりま
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