」
婆「はい、お繩《なわ》と申します」
秋「妙な名だな、お繩…フヽヽ余り聞かん名だの」
婆「はいあの私《わし》の村の鎮守様は八幡様《はちまんさま》でごぜえます、其の別当は真言宗で東覚寺《とうかくじ》と申します、其の脇に不動様のお堂がごぜえまして私《わたくし》の両親《ふたおや》が子が無《ね》えって其の不動様へ心願《しんがん》を掛けました処が、不動様が出てござらっしゃって、左の手で母親《おふくろ》の腹ア緊縛《しっちば》って、せつないと思って眼え覚めた、申子《もうしご》でゞもありますかえ、それから母親がおっ妊《ぱら》んで、だん/″\腹が大《でか》くなって、当る十月《とつき》に私《わし》が生れたてえ話でごぜえます、縄で腹ア縛られたからお繩と命《つ》けたら宜《よ》かんべえと云って附けたでごぜえますが、是でも生れた時にゃア此様《こん》な婆アじゃアごぜえません」
秋「アハヽヽ田舎の者は正直だな、手前は久しく来なかったのう」
婆「はい、ま、ね、秋は一番忙がしゅうごぜえまして、それになに私《わし》などは田地を沢山持って居ねえもんだから、他人《ひと》の田地を手伝をして、小畠《こばた》で取上《とりや》げたも
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