って憎さが百倍、さ斬っておくれ」
 と云いながら身を躱《かわ》して飛付きにかゝる。
竹「そんなれば最う是迄」
 と引払《ひっぱら》って突きにかゝる途端に、ころり足が辷《すべ》って雪の中へ転ぶと一杯の血《のり》で、
宗「おゝ何処《どこ》か怪我アせんか」
竹「私を斬ったな、法衣《ころも》を着るお身で貴方は恐しい殺生戒を破って、ハッ/\、お前さんは鬼になった処《どころ》じゃアない蛇《じゃ》になった、あゝ宗達という御出家は人殺しイ」
 と云うが、ピーンと川へ響けます。
宗「あゝ悪い事をした、お竹さんが此様《こん》な怪我をする事になったのも畢竟《ひっきょう》我が迷い、実に仏罰は恐ろしいものである」
 と思ったので宗達はカアーと取逆上《とりのぼ》せて、お竹が持っていた合口を捻取《ねじと》って、
「お前一人は殺しはせん、私《わし》も一緒に死んで、地獄の道案内をしましょう」
 と云いながら我《わが》腹へプツリ。
宗「ウヽーン/\」
竹「もし/\……宗達さま」
宗「あい/\……あい……はアー」
竹「あなたは大層|魘《うな》されていらっしゃいました」
宗「あい/\、あゝ……おゝ、お竹さま」
竹「はい」

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