があります、未《ま》だ壮《さか》んな宗達和尚、お竹の器量と云い、不断の心懸《こゝろがけ》といい、実に惚れ/″\するような女、其の上侍の娘ゆえ中々|凛々《りゝ》しい気象なれども、また柔《やさ》しい処のあるは真に是が本当の女で、斯《か》かる娘は容易に無いと疾《とう》から惚込んで、看病をする内にも度々《たび/\》起る煩悩を断切り/\公案をしては此の念を払って居りましたが、今は迷《まよい》の道に踏入《ふみい》って、我ながら魔界へ落ちたと、ぐっとお竹を□□[#底本2字伏字]める途端に、温《あたゝか》みでふと気が附いたお竹が、眼を開《あ》いて見ますと、力に思う宗達和尚が、常にもない不行跡《ふぎょうせき》、髭《ひげ》だらけの頬《ほお》を我が顔へ当てゝ、肌を開いて□□[#底本2字伏字]めて居りますから、驚いて、
竹「アレー、何を遊ばします」
と宗達和尚を突退《つきの》けて向うへ駆出しにかゝる袖を確《しっ》かり押えて、
宗「お竹さん御道理《ごもっとも》じゃ、どうも迷うた、もうとても出家は遂げられん、私《わし》はお前の看病をして枕元に附添い、次の間に寐《ね》ていても、此の程はお前の身体《からだ》が利かん
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