によって、便所へ行《ゆ》くにも手を引いて連れて行き、足や腰を撫《なで》てあげると云うのも、実は私が迷いを起したからじゃ、とても此の煩悩が起きては私は出家が遂げられん、真に私はお前に惚れた、□□□□[#底本4字伏字]私の云う事を肯《き》いてくだされば、衣も棄て珠数《じゅず》を切り、生えかゝった月代《さかやき》を幸いに一つ竈《べッつい》とやらに前を剃《そり》こぼって、お前の供をして美作国《みまさかのくに》まで送って上げ、敵《かたき》を討つような話も聞いたが、何《ど》の様《よう》な事か理由《わけ》は知らんが、助太刀も仕ようし、又何の様な事でも御舎弟と倶《とも》に力を添える、誠に面目ない恥入った次第じゃが、何うぞ私の言う事を肯いてくだされ」
 と云われ、呆れてお竹は宗達の顔を見ますと、宗達の顔色は変り、眼の色も変り、少し狂気している容子《ようす》で、掴《つか》み付きにかゝるのを突退《つきの》けて、お竹は腹立紛れに懐へ手を入れて、母の形見の合口の柄《つか》を握って、寄らば突殺すと云うけんまくゆえ、此方《こちら》も顔の色が違いました。
竹「宗達さん、あなたは怪《け》しからぬお方で、御出家のお身上《
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