持つ碗《わん》を出して、一杯流れの水を汲んで持って来ました。漸《ようや》くお竹に水を飲ませ、頻《しき》りと介抱を致しましたが、中々|烈《はげ》しい事で、
竹「ウヽーン」
と河原の中へ其の儘|反《そり》かえりました。
宗「あゝ困ったものじゃ、何うか助けたいものじゃ」
と又薬を飲まし、口移しに水を啣《ふく》ませ、お竹を□□[#底本2字伏字]めて我《わが》肌の温《あたゝ》かみで暖めて居ります内に、雪はぱったり止み、雲が切れて十四|日《か》の月が段々と差昇ってまいる内に、雪明りと月光《つきあか》りとで熟々《つく/″\》お竹の顔を見ますと、出家でも木竹《きたけ》の身では無い、忽《たちま》ち起る煩悩に春情《しゅんじょう》が発動いたしました。御出家の方では先《ま》ず飲酒戒《おんしゅかい》と云って酒を戒め、邪淫戒と申して不義の淫事を戒めてあります。つまり守り難いのは此の戒《かい》でございます。此の念を断切《たちき》る事は何うも難《かた》い事です、修業中の行脚を致しましても、よく宿場女郎を買い、或《あるい》は宿屋の下婢《おんな》に戯れ、酒のためについ堕落して、折角積上げた修業も水の泡に致してしまう事
前へ
次へ
全470ページ中354ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング