丹治は驚きまして、母の処へ駈込んでまいり。
丹「御新造《ごしんぞ》さまア……」
母「おや丹治か、先刻《さっき》は誠に御苦労、お蔭で余程《よっぽど》宜《よ》いよ」
丹「はっ/\、誠にはや何ともどうも飛んだ訳になりました」
母「ドヽ何うしたの」
丹「へえ、お嬢様が皿ア割ったそうで」
母「え……丹治皿を彼《あれ》が……」
丹「へえ、只今|彼家《あちら》の奉公人が参りまして、お千代どんが皿ア割っただ、汝《われ》受人だアから何《なん》ぼ証文通りでも断りなしにゃア扱えねえから、ちょっくら届けるから、立合うが宜《え》いと云って来ました、私《わし》が考えますに、先方《むこう》はあゝ云う奴だから、詫びたっても肯《き》くまいと思って、私が急いでお知らせ申しに来やしたが、お嬢さまが彼家《あそこ》へ住込む時、虫が知らせましたよ、門の所まで私送り出して来たアから、貴方《あんた》皿ア割っちゃアいけないよと云ったら、お嬢様が余程《よっぽど》薄いもんだそうだし、原土《もとつち》で拵えたもんだから割れないとは云えないから、それを云ってくれちゃア困るよと仰しゃいましたが、何とまア情《なさけ》ねえ事になりましたな、どうか詫
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