「へえー山ん中に……問屋《といや》でしょう」
侍「なに茅屋《あばらや》」
○「え、油屋《あぶらや》」
侍「油屋じゃアない、壊れた家をあばらやという」
○「確《しっ》かりした家は脊骨屋《せぼねや》で」
侍「そう先走っては困る、其家《そこ》へ行って拙者は武辺修行《ぶへんしゅぎょう》の者でござる、斯《か》かる山中《さんちゅう》に路《みち》に踏み迷い、且《かつ》此の通り雨天になり、日は暮れ、誠に難渋を致します、一樹《いちじゅ》の蔭を頼むと云って音ずれると、奥から出て来た」
○「へえー肋骨《あばらぼね》が出て、歯のまばらな白髪頭《しらがあたま》の婆《ばゞあ》が、片手に鉈《なた》見たような物を持って出たんだね、一つ家《や》の婆で、上から石が落ちたんでげしょう」
侍「然《そ》うじゃアない、二八余りの賤女《しずのめ》が出たね」
○「それじゃア気が無《ね》え、雀が二三羽飛出したのかえ」
侍「賤女《しずのめ》」
○「えゝ味噌汁《おつけ》の中へ入れる汁の実」
侍「汁の実じゃアない、二八余り十六七になる娘が出たと思いなさい」
○「へえー家《うち》に居たんだね、容貌《おんな》は好《よ》うごぜえやしたろうね、容貌
前へ 次へ
全470ページ中339ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング