僧「いや/\世間は無常のもので、実に夢幻泡沫で実《じつ》なきものと云って、実は真《まこと》に無いものじゃ、世の人は此の理《り》を識《し》らんによって諸々《もろ/\》の貪慾執心《どんよくしゅうしん》が深くなって名聞利養《みょうもんりよう》に心を焦《いら》って貪《むさぼ》らんとする、是らは只|今生《こんじょう》の事のみを慮《おもんぱか》り、旦暮《あけくれ》に妻子眷属《さいしけんぞく》衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、思う念慮《ねんりょ》が重なるによって胸に詰って来ると毛孔《けあな》が開《ひら》いて風邪を引くような事になる、人間|元来《もと》病なく、薬石《やくせき》尽《こと/″\》く無用、自ら病を求めて病が起《おこ》るのじゃ、其の病を自分手に拵《こしら》え、遂に煩悩という苦悩《なやみ》も出る、之《これ》を知らずに居って、今死ぬという間際の時に、あゝ悪いことをした、あゝせつない何う仕よう、此の苦痛を助かりたいと、始めて其の時に驚いて助からんと思っても、それは兎《と》ても何の甲斐もない事じゃ、此の理《り》を知らずして破戒|無慚《むざん》邪見《じゃけん》放逸《ほうい
前へ 次へ
全470ページ中314ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング