処《こゝ》まで来たことか、私の事を案じて忠平が迷って私を救い出すことか、ひょっとしたら私が気を落している所へ附込んで、狐《きつね》狸《たぬき》が化《ばか》すのではないか、もし化されて此様《こん》な処へ来やアしないかと、茫然として墓場へ立止って居りました。

        三十五

 此方《こなた》は例の早四郎が待ちに待った今宵《こよい》と、人の寝静《ねしずま》るを窺《うかご》うてお竹の座敷へやって参り、
早「眠《ねぶ》ったかね/\、お客さん眠ったかえ……居ねえか……約束だから来ただ、※[#「巾+廚」、第4水準2−12−1]《かや》の中へ入《ひえ》っても宜《え》いかえ入《ひえ》るよ、入っても宜いかえ」
 と理不尽に※[#「巾+廚」、第4水準2−12−1]《かや》を捲《まく》って中へ入り。
早「眠《ねぶ》ったか……あれやア居ねえわ、何処《どけ》え行っただな、私《わし》が来る事を知っているから逃げたか、それとも小便垂れえ行ったかな、ア小便垂れえ行ったんだ、逃げたって女一人で淋しい道中は出来ねえからな、私《わし》ア此の床の中へ入《ひえ》って頭から掻巻《けえまき》を被《かぶ》って、ウフヽヽ屈《
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