《か》にお死去《かくれ》になったな、うむ、お気の毒な事で南無阿弥陀仏々々々々々々、宜しい、えゝ、お線香は私《わし》が別に好《よ》いのを持って居りますから、これを薫《た》きましょう」
と頭陀《ずた》の中から結構な香を取出し、火入《ひいれ》の中へ入れまして、是から香を薫き始め、禅宗の和尚様の事だから、懇《ねんごろ》に御回向がありまして、
僧「えゝ、お戒名は如何《いか》さま好《よ》いお戒名で、うゝ光岸浄達信士《こうがんじょうたつしんし》」
竹「えゝ、是は只心ばかりで、お懇《ねんごろ》の御回向を戴きまして、ほんのお布施で」
僧「いや多分に貴方、旅の事だから布施物《ふせもつ》を出さんでも宜しい、それやア一文ずつ貰って歩く旅僧《たびそう》ですから、一文でも二文でも御回向をいたすのは当然《あたりまえ》で、併《しか》し布施のない経は功徳にならんと云うから、これは戴きます、左様ならば私《わし》は旅疲れゆえ直《す》ぐに寝ます、ま御免なさい」
と立ちかけるを留《と》めて、
竹「あなた少々お願いがございます」
僧「はい、なんじゃな」
と又|坐《すわ》る。お竹はもじ/\して居りましたが、応《やが》て、
竹
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