《つき》の御様子で」
僧「はい、お隣座敷へ泊ってな、坊主は経を誦《よ》むのが役で、お喧《やか》ましいことですが、夜更《よふけ》まで誦みはいたしません、貴方も先刻《さっき》から御回向をしていらっしったな」
竹「私《わたくし》は長らく泊って居りますが、供の者が死去《なくな》りまして、此の宿外《しゅくはず》れのお寺へ葬りました、今日《こんにち》は丁度七日の逮夜に当ります、幸いお泊り合せの御出家様をお見掛け申して御回向を願いたく存じます」
僧「はい/\、いや/\それはお気の毒な話ですな、うん/\成程此の宿屋に泊って居る中《うち》、煩《わずろ》うてお供さんが…おう/\それはお心細いことで、此の村方へ御送葬《ごそう/\》になりましたかえ、それは御看経《ごかんきん》をいたしましょう、お頼みはなくとも知ればいたす訳で、何処《どこ》へ参りますか」
竹「はい、こゝに机がありまして、戒名もございます」
僧「あゝ成程左様ならば」
と是から衣を着換え、袈裟《けさ》を掛けて隣座敷へまいり、机の前へ直りますと、新しい位牌があります、白木の小さいので戒名が書いてあります。
僧「あゝ、是ですか、えゝ、むう八月廿四|日
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