さい、金造《きんぞう》、裏手の方を宜く掃除して置け、喜八《きはち》、此方《こちら》へ参らんようにして、最う大概蔵へ仕舞ったか、千代や」
千「はい/\はい」
長「先刻《さっき》お父《とっ》さんがお検めになったそうだが、彼《あ》の皿を此処《こゝ》へ持って来い」
千「はい、先刻《さっき》お検めになりました」
長「検めたが、一寸《ちょっと》気になるから今一応|私《わし》が検めると云うは、祝いは千年だが、お父さまのない後《のち》は家の重宝《じゅうほう》で、此の品は私が守護する大事な宝物《たからもの》だから、私も一応検めます」
千「大旦那さまがお検めになりまして、宜しい、少しも仔細ないと御意遊ばしましたのに、貴方何う云う事でお検めになります」
長「先程お父さまがお検めになっても、私《わし》は私で検めなければ気が済まん」
千「何う云う事で」
長「何う云う事なんてとぼけるな、千代|汝《てまえ》は皿を割ったの」
五
お千代は呆れて急に言葉も出ませんでしたが、
千「何うもまア思い掛けない事を仰しゃいます私《わたくし》は割りました覚えはございません、ちゃんと一々お検めになりまして、後《
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