…まだ眠《ねむ》りはいたしませんが、蚊帳《かや》の中へ入りましたよ」
早「えゝ嘸《さぞ》まア力に思う人がおっ死《ち》んで、あんたは淋《さみ》しかろうと思ってね、私《わし》も誠に案じられて心配《しんぺえ》してえますよ」
竹「段々お前さんのお世話になって、何《なん》ぞお礼がしたいと思ってもお礼をする事も出来ません」
早「先刻《さっき》親父が処《とけ》え貴方《あんた》が金え包んで種々《いろ/\》厄介になってるからって、別に私《わし》が方へも金をくれたが、そんなに心配《しんぺい》しねえでも宜《え》え、何も金が貰いてえって世話アしたんでねえから」
竹「それはお前の御親切は存じて居ります誠に有難う」
早「あのー昨夜《よんべ》ねえ、私《わし》が貴方《あんた》の袂《たもと》の中へ打投《ぶっぽ》り込んだものを貴方|披《ひら》いて見たかねえ」
竹「何を…お前さんが…」
早「あんたの袂の中《なけ》へ書《け》えたものを私《わし》が投《ほう》り込んだ事があるだ」
竹「何様《どん》な書いたもの」
早「何様《どんな》たって、丹誠して心のたけを書いただが、あんたの袂に書いたものが有ったんべい」
竹「私は少しも知らない
前へ 次へ
全470ページ中292ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング