ので、何か無駄書《むだがき》の流行唄《はやりうた》かと思いましたから、丸めて打棄《うっちゃ》ってしまいました」
早「あれ駄目だね、流行唄じゃアねえ、尽《づく》しもんだよ、艶書《いろぶみ》だよ、丸めて打棄っては仕様がねえ、人が種々《いろ/\》丹誠したのによ」
と大きに失望をいたして欝《ふさ》いでいます。
三十四
お竹は漸々《よう/\》に其の様子を察して、可笑《おか》しゅうは思いましたが、また気の毒でもありますからにっこり笑って、
竹「それは誠にお気の毒な事をしましたね」
早「お気の毒ったって、まア困ったな、どうも私《わし》はな……実アな、まア貴方《あんた》も斯うやって独身《ひとり》で跡へ残って淋《さび》しかろうと思い私も独身《ひとりみ》でいるもんだから、友達が汝《われ》え早く女房を貰ったら宜《よ》かろうなんてって嬲《なぶ》られるだ、それに就《つ》いては彼《あ》の優気《やさしげ》なお嬢さんは、身寄頼りもねえ人だから、病人が死なば己《おら》がの女房に貰いてえと友達に喋《しゃべ》っただ、馬十《ばじゅう》てえ奴と久藏てえ奴が、ぱっ/\と此れを方々《ほう/″\》へ触れたんだ
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