、直《じき》に出立いたしますから、早々|御勘定《ごかんじょう》をして下さい、何《ど》の位あれば宜《よ》いか取って下さいまし」
とお屋敷育ちで可なりの高を取りました人のお嬢さんで、宿屋の亭主|風情《ふぜい》に見くびられたと思っての腹立ちか、懐中からずる/″\と納戸縮緬《なんどちりめん》の少し汚れた胴巻を取出し、汚れた紙に包んだ塊《かたまり》を見ると、おおよそ七八十両も有りはしないかと思うくらいな大きさだから、五平は驚きました。泊った時の身装《みなり》も余り好《よ》くなし、さして、着換《きがえ》の着物もないようでありました、是れは忠平が、年のいかない娘を連れて歩くのだから、目立たんように態《わざ》と汚れた衣類に致しまして、旅※[#「宀/婁」、347−6]《たびやつ》れの姿で、町人|体《てい》にして泊り込みましたので、五平は案外ですから驚きました。
竹「どうか此の位あれば大概払いは出来ようかと思いますが、書付を持って来て下さい」
と云われたので、流石《さすが》の五平も少し気の毒になりましたが、
五「はい/\、えゝ、お嬢さま、誠に私《わたくし》はどうも申訳のない事をいたしました、あなた御立
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