《しゅく》はずれで一盃《いっぺい》やって、よっぱれえになって帰《けえ》って来たが、馬《むま》の下湯《そゝゆ》を浴《つか》わねえで転輾《ぶっくりけ》えって寝ちまった、眠《ねむ》たくってなんねえ、何だって今時分出掛けて来た」
早「ま、眼え覚《さま》せや、覚せてえに」
久「アハー」
早「大《でけ》え欠伸《あくび》いするなア」
久「何だ」
早「他のことでもねえが、此間《こねえだ》汝《われ》がに話をしたが、己《おら》ア家《うち》の客人が病気になって、娘子《あまっこ》が一人附いているだ、好《い》い女子《おなご》よ」
久「話い聞いたっけ、好《え》い女子《おなご》で、汝《われ》がねらってるって、それが何うしただ」
早「その連《つれ》の病人が死んだだ」
久「フーム気の毒だのう」
早「就《つい》ては彼《あ》の娘《あま》を己《おら》の嫁に貰えてえと思って、段々手なずけた処が、当人もまんざらでも無《ね》えようで、謎をかけるだ、此の病人が死んでしまえば、行処《ゆきどころ》もねえ心細い身の上でございますと云うから、親父に話をした処が、親父は慾張ってるから其様《そん》な者を貰って何うすると、頓《とん》と相手になんね
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