て行って野辺送りを致してしまいました。
三十三
其の晩に脱出《ぬけだ》して、彼《か》の早四郎という宿屋の忰が、馬子《まご》の久藏《きゅうぞう》という者の処へ訪ねて参り、
早「おい、トン/\/\久藏|眠《ねぶ》ったかな、トン/\/\眠ったかえ。トン/\/\」
余りひどく表を敲《たゝ》くから、側の馬小屋に繋《つな》いでありました馬が驚いて、ヒイーン、バタ/\/\と羽目を蹴《け》る。
早「あれまア、馬めえ暴れやアがる、久藏|眠《ねぶ》ったかえ……あれまア締りのねえ戸だ、叩いてるより開けて入《へい》る方が宜《え》い、酔《よっ》ぱれえになって仰向《あおむけ》にぶっくり反《けえ》って寝《そべ》っていやアがる、おゝ/\顔に虻《あぶ》が附着《くッつ》いて居るのに痛くねえか、起《おき》ろ/\」
久「あはー……眠《ねぶ》ったいに、まどうもアハー(あくび)むにゃ/\/\、や、こりゃア甲州屋の早四郎か、大層《ていそう》遅く来たなア」
早「うん、少し相談|打《ぶ》ちに来たアだから目え覚《さま》せや」
久「今日は沓掛《くつがけ》まで行って峠え越して、帰りに友達に逢って、坂本《さかもと》の宿
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