直《すぐ》にずる/\べったりに嫁っ子に来《き》ようかと思う、彼《あれ》を貰ってくんねえか父《ちゃん》」
五「馬鹿野郎、だから仕様がねえと云うのだ、これ、父《ちゃん》はな、江戸の深川で生れて、腹一杯《はらいっぺえ》悪い事をして喰詰《くいつ》めっちまい、甲州へ行って、何うやら斯うやら金が出来る様になったが、詰り悪い足が有ったんで、此処《こゝ》へ逃げて来た時に、縁があって手前《てめえ》の死んだ母親《おふくろ》と夫婦になって、手前と云う子も出来て、甲州屋という、ま看板を掛けて半旅籠《はんはたご》木賃宿《きちんやど》同様な事をして、何うやら斯うやら暮している事は皆《みん》なも知っている、手前は此方《こっち》で生立《おいた》って何も世間の事は知らねえが、家《うち》に財産《かね》は無くとも、旅籠という看板で是だけの構えをしているから、それ程貧乏だと思う人はねえ何処《どっ》から嫁を貰っても箪笥《たんす》の一個《ひとつ》や長持の一棹《ひとさお》ぐらい附属《くッつ》いて来る、器量の悪いのを貰えば田地《でんじ》ぐらい持って来るのは当然《あたりまえ》だ、面《つら》がのっぺりくっぺりして居るったって、あんな素性
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