置きました手紙が此処《こゝ》にございます、親父は無筆でございますから、仮名で細かに書いて置きましたから、あなたが江戸へ入らっしゃいまして、春木町の私の家《うち》へ行って、親父にお会いなさいましたら、親父が貴方だけの事はどうかまア年は老《と》っても達者な奴でございますから、お力になろうと存じます、此処から私が死ぬと云う手紙を出しますと、驚いて飛んで来ると云うような奴ゆえ、却《かえ》って親父に知らせない方が宜《よ》いと存じますから、何卒《どうぞ》お嬢さん、はッはッ、私が死にましたら此処の寺へ投込みになすって道中も物騒《ぶっそう》でございますから、お気をお付けなすって、あなたは江戸へ入《いら》っしゃいまして親父の岩吉にお頼みなすって下さいまし」
竹「あい、それやア承知をしましたが、もし其様《そん》なことでもあると私はまア何うしたら宜かろう、お前が死んでは何うする事も出来ませんよ、何うか癒《なお》るようにね、病は気だというから、忠平|確《しっ》かりしておくれよ」
忠「いえ何うも此度《こんど》はむずかしゅうございます」
と是が主従《しゅうじゅう》の別れと思いましたからお竹の手を執《と》って、
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