はございませんから、どうぞもお薬も服《の》まして下さいますな、もう二三|日《ち》の内にむずかしいかと思います」
竹「お前そんなことを云っておくれじゃア私が困るじゃアないか、祖五郎はお国へ行《ゆ》き、喜六は死に、お前より他に頼みに思う者はなし、一人《ひとり》ではお屋敷へ帰ることも出来ず、江戸へ行ってもお屋敷|近《ぢか》い処へ落着けない身の上になって、お前を私は家来とは思わない、伯父とも親とも力に思う其のお前に死なれ、私一人|此処《こゝ》に残ってはお前何うする事も出来ませんよ」
忠「有難う……勿体ないお言葉でございます、僅《わず》か御奉公致しまして、何程の勤めも致しませんのに、家来の私《わたくし》を親とも伯父とも思うという其のお言葉は、唯今目を眠りまして冥土へ参るにも好《よ》い土産でございます、併《しか》し以前《もと》とちがって御零落なすって、今斯う云うお身の上におなり遊ばしたかと存じますと、私は貴方のお身の上が案じられます、どうぞ私の亡《な》い後《のち》は、他に入《いら》っしゃる所《とこ》もございません故、昨夜《ゆうべ》貴方が御看病疲れで能《よ》く眠っていらっしゃる内に、私が認《か》いて
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