ねいた》を入れて置く事があります。是は将軍様のお居間には能《よ》くあることで、これは間違いの無いようにというのと、今一つは湿《しっ》けて宜しくないから、二重に遊ばした方が宜しいと二重畳にして御寝《ぎょしん》なる事になる。屏風を建廻《たてまわ》して、武張ったお方ゆえ近臣に勇ましい話をさせ昔の太閤《たいこう》とか、又|眞田《さなだ》は斯う云う計略《はかりごと》を致しました、楠《くすのき》は斯うだというようなお話をすると、少しは紛《まぎ》れておいでゞございます。悪い奴が多いから、庭前《にわさき》の忍び廻りは遠山權六で、雨が降っても風が吹いても、嵐でも巡廻《みまわ》るのでございます。天気の好《よ》い時にも草鞋《わらじ》を穿《は》いて、お馬場口や藪の中を歩きます。袴《はかま》の裾《すそ》を端折《はしょ》って脊割羽織《せわりばおり》を着《ちゃく》し、短かいのを差して手頃の棒を持って無提灯《むぢょうちん》で、だん/\御花壇の方から廻りまして、畠岸《はたけぎし》の方へついて参りますと、森の一叢《ひとむら》ある一方《かた/\》は業平竹《なりひらだけ》が一杯生えて居ります処で、
男「ウーン、ウーン」
 と
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