して、道具屋に奉公して居りましたが、つい道楽だもんでげすから、お母《ふくろ》が死ぬとぐれ出し、伯父の金え持逃げをしたのが始まりで、信州|小室《こむろ》の在《ぜえ》に友達が行って居りますから無心を云おうと思いまして参ったのでごぜえますが、途中で災難に遭い、金子《かね》を……」
梅「いや/\幾ら手前が陳じても、書付を取るというは何か仔細があるに相違ない、清藏どん打《ぶ》って御覧、云わなければ了簡がある、真実に貧の盗みなれば金を取らなければならん、書付を取るというはどうも理由《わけ》が分らんから、責めなければならん」
清「さ云えよ、云わねえと痛《いて》えめをさせるぞ、誰か太っけえ棒を持って来い、角《かど》のそれ六角に削った棒があったっけ、なに長《なげ》え…切って来《こ》う……うむ宜《よ》し…さ野郎、これで打《ぶ》つが何うだ」
 と続け打《う》ちに打ちますと、曲者は泣声を致しまして、
曲「御免なすって、貧の盗みで」
清「貧の盗みなんて生虚《なまそら》ア吐《つ》きやアがって、家《うち》へ来た時に汝《われ》何と云った、少《ちい》せえ時に親父が死んで、お母《ふくろ》の手にかゝっている内に、眼が潰れた
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