出来心で、へえ、沢山《たんと》金え盗《と》るという了簡じゃアごぜえません、貧の盗みでございますから、お見遁《みのが》しを願います」
清「此の野郎……此奴《こいつ》のいう事ア迂濶《うっかり》本当にア出来ねえ、嘘を吐《つ》く奴は泥坊のはじまり、最《も》う泥坊に成ってるだ此の野郎」
曲「どうか御免なすって」
梅「いや/\手前は貧の盗みと云わせん事がある、貧の盗みなれば何故《なぜ》紙入れの中の金入れか銭入れを持って行《ゆ》かぬ、何で其の方は書付ばかり盗んだ」
曲「え……これはその何《なん》でございます、あゝ慌《あわ》てましたから、貧の盗みで一途《いちず》にその私《わたくし》は、へえ慌てまして」
梅「黙れ、手前はどうも見たような奴だ、此奴《こいつ》を確《しっか》り縛って置き、殴《たゝ》っ挫《くじ》いても其の訳を白状させなければならん、さ何ういう理由《わけ》で此の文を盗《と》った、手前は屋敷奉公をした奴だろう、谷中の屋敷にいた時分、どうも見掛けたような顔だ……手前は三崎の屋敷にいた事があったろうな」
曲「いえ……どう致しまして、私《わたくし》は麻布十番の者でごぜえます、古河《こが》に伯父がごぜえま
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