《そっち》へ片附《かたし》ちめえ、此の野郎|頬被《ほっかぶ》りいしやアがって、何処《どこ》から入《へい》った」
と手拭をとって曲者の顔を見て驚き、
清「おや、此の按摩ア……汝《われ》は先月から己《おら》ア家《うち》へ来て、俄盲《にわかめくら》で感が悪くって療治が出来ねえと云うから、可愛相だと思って己ア家へ置いてやった宗桂だ、よく見りゃア虚盲《そらめくら》で眼が明いてるだ、此の狸按摩|汝《うぬ》、よく人を盲だって欺《だま》しアがった、感が悪くって泥坊が出来るかえ、此の磔《はッつけ》めえ」
と二つばかり続けて撲《ぶ》ちました。
曲「御免なさい、誠にどうも番頭《ばんつ》さん、実ア盲じゃアごぜえません、けれども旅で災難に遭いまして、後《あと》へは帰れず、先へも行《い》かれず、仕様が有りませんから、実は喰方《くいかた》に困って此方《こちら》はお客が多いから、按摩になってと思いまして入ったんでございますが、漸々《だん/\》銭が無くなっちまいましたから、江戸へ帰っても借金はあり、と云って故郷《こきょう》忘《ぼう》じ難《がた》く、何うかして帰りてえが、借金方の附くようにと思いまして、ついふら/\と
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