な……何だろうか知ら、気味の悪い奴だ、どうして賊が入ったか、盗《と》るものもない訳だが……己を殺しにでも来た奴か知らん」
とそこは若いけれども武家《ぶげ》のことだから頓と油断はしません。眼を細目に開《あ》いて様子を見て居りますと、布団《ふとん》の間に挟んであった梅三郎の紙入を取出し、中から引出した一封の破れた手紙を透《すか》して、披《ひろ》げて見て押戴《おしいたゞ》き懐中《ふところ》へ入れて、仕すましたり…と行《ゆ》きにかゝる裾《すそ》を、梅三郎うゝんと押えました。
二十八
姿は優しゅうございますが、柔術《やわら》に達した梅三郎に押えられたから堪《たま》りません。
曲者「御免なさい」
梅「黙れ……賊だな、さ何処《どっ》から忍び込んだ」
曲者「何卒《どうぞ》御免なすって」
梅「相成らん……何だ逃げようとして」
と逆に手を取って押付《おさえつ》け。
梅「怪しい奴だ、清藏どん、泥坊が入りました。清藏どん/\聞えんか、困ったものだ、清藏どん」
少し離れた処に寝て居りました清藏が此の声を聞付け、
清「あい、はアー……あい/\……何だとえ、泥坊が入《へい》ったとえあれま
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