いたいけれども、立つ時はこっそりと立ちたいと思うから、よく親父にそう云っておくれよ」
と云われて、忠平は祖五郎とお竹の顔を視詰《みつ》めて居りました。忠平は思い込んだ容子《ようす》で、
忠「へえ……お嬢さま、私《わたくし》だけはどうかお供仰付け下さいますように願いたいもので、まア斯うやって私も五ヶ年御奉公をいたして居ります、成程親父は老《と》る年ですが、まだ中々達者でございます、旦那様には別段に私も御贔屓を戴きましたから、忠平だけはお供をいたし、御道中と申しても若旦那様もお年若、又お嬢様だって旅慣れんでいらっしゃいますから、私がお供をしてまいりませんと、誠にお案じ申します、宅《うち》で案じて居りますくらいなら、却《かえ》ってお供にまいった方が宜しいので、どうかお供を」
竹「それは私も手前に供をして貰えば安心だけれども、親父も得心しまいし、また跡でも困るだろう」
忠「いえ困ると申しても職人も居りますから、何うぞ斯うぞ致して居ります、なまじ親父に会いますと又|右《と》や左《かく》申しますから、立前《たちまえ》に手紙で委《くわ》しく云ってやります、どうか私《わたくし》だけはお邪魔でもお供を
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