ございません」
祖「姉様《あねさま》と昨夜《ゆうべ》のう種々《いろ/\》お話をしたが、屋敷に長くいる訳にもいかんから、此の通り諸道具を引払ってしまった、併《しか》し又再び帰る時節もあろうからと思い、大切な品は極《ごく》別懇にいたす出入町人の家へ預けて置いたが、姉様と倶《とも》に喜六を便《たよ》って信州へ立越《たちこえ》る積りだ、手前も長く奉公してくれたが、親父も彼《あ》の通り追々|老《と》る年だし、菊はあゝ云う訳になったし、手前だけは別の事だから、こりゃア何の足しにもなるまいが、お父《とっ》さまの御不断召《ごふだんめし》だ、聊《いさゝ》か心ばかりの品、受けて下さい、是まで段々手前にも宜く勤めて貰い、お父さまが亡《な》い後《のち》も種々骨を折ってくれ、私《わし》は年が往《ゆ》かんのに、姉様は何事もお心得がないから何うして宜《い》いかと誠に心配していたが、万事手前が取仕切ってしてくれ、誠に辱《かたじけ》ない、此品《これ》はほんの志ばかりだ……また時が来て屋敷へ帰ることもあったら、相変らず屋敷へ来て貰いたい、此品《これ》だけを納めて下さい」
忠「へえ誠に有難う……」
竹「手前どうぞ岩吉にも会
前へ
次へ
全470ページ中220ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング