》くと仰しゃるは、己がへの義理で仰しゃるだ、憎くて置かれねえ奴だが、此の旦那さまも斯《こん》なにお義理堅《ぎりがて》えから、此の旦那様に免じて当分|家《うち》へ置いてくれるから、此処《こゝ》に隠れて[#「隠れて」は底本では「隠ねて」]いるが宜《え》い」
清「そんなれば早く然《そ》う云えば宜《い》いに、後《あと》でそんな事を云うだから駄目だ、石原の子息《むすこ》がぐず/\して居て困る事ができたら、私《わし》が殴殺《ぶっころ》しても構わねえ」
 と是から二人は此の六畳の座敷へ足を止める事になりますと、お屋敷の方は打って変って、渡邊織江は非業に死し翌日になって其の旨を届けると、直《す》ぐさま検視も下《お》り、遂に屍骸《しがい》を引取って野辺の送りも内証《ないしょ》にて済ませ、是から悪人|穿鑿《せんさく》になり、渡邊織江の長男渡邊|祖五郎《そごろう》が伝記に移ります。

        二十六

 さて其の頃はお屋敷は堅いもので、当主が他人《ひと》に殺された時には、不憫《ふびん》だから高《たか》を増してやろうという訳にはまいりません、不束《ふつゝか》だとか不覚悟だとか申して、お暇《いとま》にな
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