不孝なア娘《あま》の着物を見るのは忌《いや》だから、打棄《うっちゃっ》ちまえと云うだ」
清「打棄らずに取って置いたら宜《よ》かんべい」
母「雨も降りそうになって居るから、合羽に傘に下駄でも何でも、汝《われ》が心で附けて、此娘《これ》がに遣ることは出来ねえ、憎くって、併《しか》し家《うち》に置くことが出来ねえから打棄れというのだ、雨が降りそうになって居るから」
清「うーむ然《そ》うか、打棄るべえ、箪笥《たんす》ごと打棄っても宜《え》い、どっちり打棄るだから、誰でも拾って往《ゆ》くが宜い、はアーどうも義理という二字は仕様のねえものだ」
 と立ちにかゝるを引止めて、
梅「ま暫《しばら》く……清藏どんとやら暫くお待ち下さい、只今|親御《おやご》の仰せられるところ、重々|御尤《ごもっと》もの次第で、御尊父|御存生《ごぞんしょう》の時分からお約束の許嫁《いいなずけ》の亭主あることを存ぜず、無理に拙者が若江を連れてまいりましたは、あなたに対しては何とも相済みません、若江は亡《なくな》られた親御の恩命に背《そむ》き、不孝の上の不孝の上塗《うわぬり》をせんければならず、拙者は何処《どこ》へも往《ゆ》き所
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