ら、情夫を連れて参《めえ》っちゃア石原へ済まねえ事を知っていながら来るとは、何ともはア魂消てしまった、汝より他に子はねえけれども、義理という二字があって何うしても汝を宅《うち》へ置く事は出来ねえ、見限って勘当をするから何処《どこ》へでも出て往くが宜《え》い、汝は此のお方様に見棄てられて乞食になるとも、首い縊《くゝ》って死ぬとも、身を投げるとも汝が心がらで、自業自得だ、子のない昔と諦めますから」
 と両眼には一杯涙を浮《うか》めて泣いて居りました。

        二十五

 母は心の中《うち》では不憫でならんが、義理にからんで是非もなく/\故《わざ》と声をあらゝげまして、
母「これ若、もう物を云わずさっさと出て往け」
 と云いながら梅三郎に向いまして、
「お前様には始めてお目にかゝりましたが、お立派なお侍さんが斯《こ》んな汚《きたね》え処へお出でなすったくれえだから、どうか此の娘《あま》を可愛がって下せえまし、折角|此処《こゝ》まで連れて逃げて来たものを、若い内には有りうちの事だ、田舎|気質《かたぎ》とは云いながら、頑固《かたくな》な婆《ばゞ》アだ、何の勘弁したって宜《え》えにとお前
前へ 次へ
全470ページ中209ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング