の宝物《ほうもつ》になって居ります。これは彼《か》の諸方で経済学の講釈をしたり、平天平地《へいてんへいち》とかいう機械をもって天文学を説いて廻りました佐田介石《さだかいせき》和尚が確かに見たと私《わたくし》へ話されました。何《ど》の様な皿かと尋ねましたら、非常に良い皿で、色は紫がゝった処もあり、また赤いような生臙脂《しょうえんじ》がゝった処があり、それに青貝のようにピカ/\した処もあると云いますから、交趾焼《こうちやき》のような物かと聞きましたら、いや左様《そう》でもない、珍らしい皿で、成程一枚|毀《こわ》したら其の人を殺すであろうと思うほどの皿であると云いました。其の外《ほか》にある二十枚の皿を白菊と云って、極《ごく》薄手の物であると申すことですが、東山時分に其様《そん》な薄作《うすさく》の唐物はない筈、決して薄作ではあるまいと仰しゃる方もございましょうが、ちょいと触っても毀れるような薄い皿で、欠けたり割れたりして、継いだのが有るということです。此の皿には菊の模様が出ているので白菊と名づけ、あとの十枚は野菊のような色気がある処から野菊と云いました由で、此の皿は東山家伝来の重宝《ちょう
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