大「静かに/\」
林「ど何ういう事で」
大「静かに……」
林「はい、只今開けます、灯火《あかり》が消えて居りますから、只今……先刻《さっき》から種々《いろ/\》考えて居て一寸《ちょっと》も眠《ね》られません、へえ開けます」
 がら/\/\。
林「先刻の事が気になって眠《ねむ》られませんよ」
大「一緒に来い/\」
林「ひえ/\」
大「手前の手許《てもと》に小短い脇差で少し切れるのがあるか」
林「ひえ、ござえます」
大「それを差して来い、静かに/\」
 と是れから林藏の手を引いて、足音のしないように花壇の許《もと》まで連れて来まして、
大「これ」
林「ひえ/\」
大「菊は此の通りにして仕舞った」
林「おゝ……これは……どうもお菊さん」
大「これさ、しッ/\……主人の言葉を背《そむ》く奴だから捨置き難い、どうか始終は林藏と添わしてやりたいから、段々話をしても肯入《きゝい》れんから、已《や》むを得ず斯《かく》の通り致した」
林「ひえゝ、したがまア、殺すと云うはえれえことになりました、可愛相な事をしましたな」
大「いや可愛相てえ事はない、手前は菊の肩を持って未練があるの」
林「未練《めれん》は
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