りをして甜《な》めて、拭いてしまって置くだよ」
菊「穢《きたな》いね、私ア嫌だよ」
林「それからね、何うかしてお前さんの肌を見てえと思っても見る事が出来ねえ、すると先達《せんだっ》て前町《まえまち》の風呂屋《ほろば》が休みで、行水を浴《つか》った事がありましたろう、此の時ばかり白い肌が見られると思ってると、悉皆《すっかり》戸で囲って覗《のぞ》く事が出来《でけ》ねえ、何うかしてと思ってると、節穴が有ったから覗くと、意地《えじ》の悪い穴よ、斜《はす》に上の方へ向いて、戸に大きな釘が出ていて頬辺《ほゝぺた》を掻裂《かぎざ》きイした」
菊「オホヽヽ忌《いや》だよ」
林「其の時使った糠《のか》を貯《と》って置きたいと思って糠袋《のかぶくろ》をあけて、ちゃんと天日《てんぴ》にかけて、乾かして紙袋《かんぶくろ》に入れて貯っておいて、炊立《たきたて》の飯の上へかけて喰《く》うだ」
菊「忌だよ、穢い」
林「それから浴《つか》った湯を飲もうと思ったが、飲切れなくなって、どうも勿体ねえと思ったが、半分程飲めねえ、三日目から腹ア下《くだ》した」
菊「冗談を云うにも程がある、彼方《あちら》へお出でよ、忌らしい」
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