附《えんづく》は極《けま》っているからね、知らず/\して縁は異《え》な物味な物といって、ちゃんと極《きま》っているからね」
菊「何《なん》が縁だよ」
林「何でも宜《え》い、本当ね私《わし》が此方《こっちゃ》へ奉公に来た時始めてお前《めえ》さんのお姿を見て、あゝ美《おつこ》しい女中|衆《しゅ》だと思えました、斯ういう美《おつこ》しい人は何家《どけ》え嫁付《かたづ》いて往《ゆ》くか、何ういう人を亭主に持ちおると思ってる内に、旦那さまのお妾さまだと聞きやしたから、拠《よんどころ》ねえと諦らめてるようなものゝ、寐《ね》ても覚《さめ》てもお前《まえ》さんの事を忘れたことアないよ」
菊「冗談をお云いでない、忌《いや》らしい、彼方《あっち》へ往ってお寝よ」
林「往《い》きアしない、亥刻《よつ》までは往《え》かないよ」
菊「困るよ、其様《そん》なに何時《いつ》までもいちゃア、後生だからよ、明日《あした》又旨い物を上げるから」
林「何うしてお前さんの喰欠《こいか》けを半分|喰《こ》うて見てえと思ってゝも、喰欠《こいか》けを残した事がねえから、密《そっ》と台所《だいどこ》にお膳が洗わずにある時は、洗った振
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