方《あっち》へ往《え》け、己が折を下げてるもんだから跡を尾《つ》いて来《き》やアがる、もこ[#「もこ」に傍点]彼方へ往《い》け、もこ/\[#「もこ/\」に傍点]あはゝゝゝ尻尾《しりっぽ》を振って来やアがる」
下男「いや林藏《れんぞう》何処へ往《え》く、なに旦那と一緒《えっしょ》に、然《そ》うかえ、一盃《えっぺい》飲《や》ったなア」
林「然うよ」
下男「それははや、左様なら」
林「あはゝゝゝ何だか田舎漢《えなかっぺえ》のいう事は些《ちゃっ》とも解らねえものだなア、えゝお菊さん只今帰りました」
菊「おや、お帰りかえ、大層お遅いからお案じ申したが、旦那さまは」
林「旦那さまは神原様のお小屋で御酒《ごしゅ》が始まって、手前は先へ帰れと云いましたから、私《わし》だけ帰ってめえりました」
菊「大きに御苦労よ」
林「えゝ、此のお折の中のお肴は旦那様が手前に遣る、菊《けく》も不断骨を折ってるから、菊《けく》と二人で茶の間で一盃《いっぱい》飲めよと云うて、此のお肴を下《こだ》せえました、どうか此処《こゝ》で旦那さまが毎《いつ》も召上る御酒を戴《えたゞ》きてえもんで」
菊「神原さまのお小屋で御酒が始まった
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