》かれません」
大「寄附けようが寄附けまいが、菊が何と云うとも構ったことはない、己は四つの廻りを合図に、庭口から窃《そっ》と忍び込んで、裏手に待っているから、四つの廻りの拍子木を聞いたら、構わず菊の首玉《くびッたま》へかじり附け、己が突然《だしぬけ》にがらりと障子を開けて、不義者《ぶぎもの》見附けた、不義《ふぎ》をいたした者は手討に致さねばならぬのが御家法だ、さ両人《ふたり》とも手討にいたす」
林「いや、それは御免を……」
大「いやさ本当に斬るのじゃアない、斬るべき奴だが、今迄真実に事《つか》えてくれたから、内聞《ないぶん》にして遣《つか》わし、表向にすれば面倒だによって、永《なが》の暇《いとま》を遣わす、また菊もそれ程までに思っているなら、町人になれ、侍になることはならんと三十両の他に二十両菊に手当をして、頭の飾《かざり》身の廻り残らず遣《や》る」
林「成程、有難い、どうも是ははや……併《しか》しそれでもいけませんよ、お菊《けく》さんが貴方飛んでもない事を仰しゃる、何うしても林藏と私《わたくし》と不義をした覚えはありません、神かけてありません、夫婦に成れと仰しゃっても私は否《えや》で
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