し》のような不行届《ほよきとゞき》の者を目《み》え懸けて下さり何ともはや恐入りやす」
大「いや、然《そ》うでない、貴様ア感心な事には正直律義なり、誠に主《しゅう》思いだのう」
林「いえ、旦那様が目《み》え懸けて下せえますから、お互に思えば思わろゝで、そりゃア尊公《あんた》当然《あたりめえ》の事《こっ》て」
大「いや/\然うでない、一体貴様の気象を感服している、これ女中、下物《さかな》を此処《これ》へ、又|後《あと》で酌をして貰うが、早く家来共の膳を持って来んければならん」
 と林藏の前へも同じような御馳走が出ました。
大「のう林藏、是迄しみ/″\話も出来んであったが、今日《きょう》は差向いで緩《ゆっ》くり飲もう、まア一盃《いっぱい》酌《つ》いでやろう」
林「へえ恐入りました、誠ね有難い事で、旦那さまのお酌《さく》で恐入《おそれえ》ります」
大「今日は遠慮せずにやれよ」
林「へえ恐入《おそれえ》りました、ヒエ/\溢《こぼ》れます/\……有難い事で、お左様なれば頂戴いたします、折角《しっかく》の事だアから誠にはや有難い事で」
大「今日は宜《い》いよ、打解けて飲んでくれ、何かの事に遠慮はあっ
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