此の通り役柄をいたす侍が頼むのに、今となって否《いや》だなどと申しても、一大事を聞かせた上は手討にいたすから覚悟いたせ」
源「ど、何卒《どうぞ》御免を……お手討だけは御勘弁を……」
大「勘弁|罷《まか》りならん、神原殿がお頼みによって、其の方に申聞《もうしき》けた、だが今になって違背《いはい》されては此の儘に差置《さしお》けんから、只今手討に致す」
源「へえ大変な事で、私《わたくし》は斯様な事とは存じませんでしたが、大変な事になりましたな、一体水飴は私の処では致しませんへえ不得手なんで」
大「其様《そん》な事を申してもいかん」
源「へえ宜しゅうございます」
 と斬られるくらいならと思って、不承/\に承知致しました。
大「一時遁《いっときのが》れに請合《うけあ》って、若《も》し此の事を御舎弟附の方々《かた/\》へ内通でもいたすと、貴様の宅《たく》へ踏込んで必ず打斬《うちき》るぞ」
源「へえ/\御念の入《い》った事で、是がお薬でございますか、へえ宜しゅうございます」
 と宅《うち》へ帰って彼《か》の毒薬を水飴の中へ入れて煉《ね》って見たが、思うようにいけません、どうしても粉が浮きます、綺麗
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