に心得ますかえ」
源「へえ決して粗略には心得ません、大切に心得て居ります」
大「ムヽウ、御当家のためを深く其の方が思うなら、江戸表の御家老さま、又此の神原五郎治さま、渡邊さま、此の四郎治さま、拙者は新役の事ではあるが此の事に就《つい》てはお家のためじゃからと云うので、種々《いろ/\》御相談があった、始めは拙者にも分りません所があったが、だん/\重役衆の意見を承わって成程と合点《がってん》がゆき、是はお家のためという事を承知いたしたのだ」
源「へえ、どうも然《そ》ういう事は町人などは何も弁《わきま》えのありません事でございまして、へえ何ういう事が御当家さまのお為になりますので」
大「他でもないが上《かみ》が長らく御不例でな、お医者も種々《いろ/\》手を尽されたが、遠からずと云う程の御重症である」
源「へえ何でげすか、余程お悪く在《いら》っしゃいますんで」
大「大きな声をしては云えんが、来月|中旬《なかば》までは保つまいと医者が申すのじゃ」
源「へえ、どうもそれはおいとしい事で、お目通りは致しませんが、誠に手前も長らく親の代からお出入りを致しまして居りますから、誠に残念な事で」
大「うむ、
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