ろ》げて、向うから来る人の見えるようにして、飴屋の亭主を呼出しました。
源「えゝ今日《こんにち》お召によって取敢《とりあえ》ず罷《まか》り出ました、御殿へ出ます心得でありましたが、御当家さまへ出ました」
大「いや/\御殿では却《かえ》って話が出来ん、其の方|例《いつも》の係り役人に遇《あ》っても、必らず当家へ来たことを云わんように」
源「へえ畏《かしこ》まりました、此の度《たび》は悪い疫《やまい》が流行《はや》り、殿様には続いてお加減がお悪いとか申すことを承わりましたが、如何《いかゞ》で」
大「うん、どうもお咳が出てならん」
源「へえ、へい/\、それははや何とも御心配な儀で……今日召しましたのは何ういう事ですか、何うか飴の御用向でも仰付けられますのでございますか[#「ございますか」は底本では「こざいますか」]」
大「神原|氏《うじ》貴公から発言《はつごん》されたら宜しゅうござろう」
神「いや拙者は斯ういう事を云い出すは甚《はなは》だいかん、どうか貴公から願いたい、斯う云う事は松蔭氏に限るね」
大「拙者は誠に困る、えゝ源兵衞、其の方は御当家へ長らく出入《でいり》をするが、御当家さまを大切
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