命にさわるわけではなし、お母さまの御病気が癒った方が宜《よ》いわけじゃアないか」
丹「うん、これは然《そ》うだ、然う仰しゃると無理じゃアない、棄置けば死ぬと云うものを、あなたが何う考えても打棄《うっちゃ》って置かれねえが、成程是れは奉公するも宜うごぜえましょう」
母「お前馬鹿な事ばかり云っている、私が此の娘《こ》を其様な処へ遣られるか遣られないか考えて見なよ、指を切られたら肝心な内職が出来ないじゃアないか、此の困る中で猶々《なお/\》困ります、遣られませんよ」
丹「成程是れはやれませんな、何う考えても」
千「あらまア、あんな事を云って、何方《どっち》へも同じような挨拶をしては困るよ」
丹「へえ、是れは何方とも云えない、困ったねえ…じゃア斯うしましょう、私《わし》がの媼《ばゞあ》を何卒《どうか》お頼ん申します、私がお嬢さまの代りに奉公に参《めえ》りまして、私が其の給金を取りますから、お薬を買って下せえまし」
千「女でなければいけない、男は暴々《あら/\》しくて度々《たび/\》毀すから女に限るという事は知れて居るじゃアないか」
丹「然《そ》うだね、男じゃア毀すかも知れねえ、私等《わしら》は
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