兼勤を仰付けられました。御部屋住《おへやずみ》の前次様のお附き元締兼勤を仰付けられました。此の前次様は前《ぜん》申し述べました通り、武張ったお方で武芸に達した者を手許に置きたいというので、御当主へお願い立《たて》でお貰い受けになりましたので、お上邸《かみやしき》と違ってお長家《ながや》も広いのを頂戴致す事になり、重役の気受けも宜しく、男が好《よく》って程が善《い》いから老女や中老までも誉《ほ》めそやし、
○「本当にえらいお人で、手も能《よ》く書く、力も強く、他《ひと》は否《いや》に諂《へつら》うなどと申すが、然《そ》うでない、真実愛敬のある人で、私《わたくし》が此の間会った時にこれ/\云って、彼は誠の侍でどうも忠義|一途《いちず》の人であります」
と勤務が堅いから忽《たちま》ち評判が高くなりました。乃《そこ》で有助という、根岸にいた時分に使った者を下男に致しまして、新規に林藏《りんぞう》という男を置きました。これは屋敷奉公に慣れた者を若党に致しましたので、また男ばかりでは不自由だから、何ぞ手許使《てもとづかい》や勝手許《かってもと》を働く者がなければなりませんから、方々へ周旋を頼んで
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