》心得のために承知をして置きとうござる」
梅「それは罪を犯したる者の次第にも因《よ》りましょうけれども、上《かみ》たる者は下《した》の者の罪は減じ得られるだけ軽くして、命を助けんければならん」
大「それは然《そ》うあるべき事で、若《も》し貴方の御家来が貴方に対して不忠な事を致しまして、手討に致すべき奴を手討にせんければならん時、手討に致した方が宜しいか、但しお助けなすって門前払いにいたし、永《なが》のお暇《いとま》を出された方がお宜しいか」
梅「其様《そん》な事は云わんでも知れて居る、斬る程の罪を犯し、斬るべきところを助け、永の暇と云って聊《いさゝ》か手当をいたして暇を遣《つか》わす、是が主従《しゅうじゅう》の情というもので、云うに云われん処が有るのじゃ」

        十七

 大藏は感心した風《ふう》をして聞き了《おわ》り、
大「成程甚だ恐入りますが、殿様も誠に御仁慈《ごじんじ》厚く、また御重役方も皆|真《しん》に智仁《ちじん》のお方々だという事を承わって居りますが、拙者はな、お屋敷|内《ない》に罪あるもので、既にお手討にもなるべき者を助けました事が一廉《ひとかど》ございます、
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