助けられた恩が有るゆえ、織江が種々《いろ/\》周旋いたしたところから、丁度十日目に松蔭大藏の許《もと》へお召状《めしじょう》が到来致しましたことで、大藏|披《ひら》いて見ると。
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御面談|申度《もうしたき》儀|有之候《これありそうろう》間|明《みょう》十一日朝五つ時当屋敷へ御入来《ごじゅらい》有之候|様《よう》美作守《みまさかのかみ》申付候此段|得御意《ぎょいをえ》候以上
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[#地から8字上げ]美作守内[#地付き、地より8字アキ]
    三月十日[#地から1字上げ]寺島兵庫
        松蔭大藏殿
 という文面で、文箱《ふばこ》に入って参りましたから、当人の悦びは一通りでございません、先ず請書《うけしょ》をいたし、是から急に支度にかゝり、小清潔《こざっぱり》した紋付の着物が無ければなりません、紋が少し異《ちが》っていても宜い、昌平《しょうへい》に描《か》かせても直《じき》に出来るだろうが、今日一日のことだからと有助を駈けさせて買いに遣《つか》わし、大小は素《もと》より用意《たしなみ》がありますから之を佩《さ》して、翌朝《よくあさ》の五
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