らずで御厄介《ごやくかい》になります。女「お休みなさいまし。○「それでは御免《ごめん》下《くだ》さい。次《つぎ》の間《ま》に行《ゆ》く。あとに女《をんな》は亭主《ていしゆ》が帰《かへ》つて来《き》たならば飲《の》ませようと思つて買つて置いた酒をお客に飲《の》ましてしまつたのですから、買つて置かうと糸立《いとだて》を巻《ま》いて手拭《てぬぐひ》を冠《かむ》り、藁雪沓《わらかんじき》を穿《は》きまして徳利《とくり》を持《も》つて出かけました。入《い》れ替《かは》つて帰《かへ》つて来《き》たのは熊《くま》の膏薬《かうやく》の伝次郎《でんじらう》、やち草《ぐさ》で編《あ》んだ笠《かさ》を冠《かむ》り狸《たぬき》の毛皮《けがは》の袖《そで》なしを被《き》て、糧切《まぎり》は藤《ふぢ》づるで鞘《さや》が出来《でき》てゐる。これを腰にぶらさげ熊《くま》の膏薬《かうやく》の入《はい》つた箱を斜《はす》に背負《せお》ひ鉄雪沓《てつかんじき》を穿《は》いて、伝「オイおくま、オイお熊《くま》どこへ行《い》つたんだな、おくま、手水場《てうづば》か、めつぽふけえ降《ふ》りやアがる、焚火《たきび》をしたまゝ居《ゐ
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